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090606ゲスト 精神科医 名越康文さん



2009.06.06 O.A
精神科医
名越康文さん


1960年、奈良県生まれ。思春期精神医学、精神療法専門の精神科医。ラジオのDJをきっかけに、雑誌やテレビでの映画や音楽評論なども精神科医の視点で語る。人気アニメの主人公の性格分析をした『名越式!キャラわかり』(宝島社)など、著書も多数。また当番組「いつもふたりで…」6月からの新コーナー『Choice for Two』では、番組のコミュニケーション・アドバイザーとして毎週登場。



『心をちゃんと見ないと前に進めない』


渋谷:
名越さんは精神科医でいらっしゃる一方で、映画や音楽の評論をされたり、マンガの原作を書かれたり、いろんなメディアで活躍されていらっしゃいますよね。どういうキッカケで精神科医になられたんですか?

名越:
あんまりね、派手なキッカケじゃないんですよ。僕のおじいさんは内科医だったので、自分も内科のお医者さんになろうかと思って医学部に行ってたんですけど、どんどん体の病気に興味が無くなってきちゃったんですよ。体がいくら健康でも、心が迷ってる人とか苦しんでる人は、体の病気以上に…だって心はいつも付いてくるでしょ? 体調が悪くなった時は別だけど、体は迷わないでしょ? 1度心が迷うと、24時間でしょ?

渋谷:
はい。

名越:
だからそれを考えると、心をちゃんと見ないと前に進めないって、思い詰めちゃったの。若い頃だから。それで一時期は大学を辞めようと思ったんですよ。でもいろいろ迷って探している時に、精神科があるってことを大学の3年生の時に初めて知ったんです。

渋谷:
あ、結構遅いですよね…。

名越:
そうそう、世間の人の方が知っていて、僕は21歳まで精神科があるって知らなかったんですよ。

渋谷:
そうなんですか(笑)。

名越:
それで精神科医になったの(笑)。

渋谷:
やっぱり病気っていうのは心から始まるものがあるっていうことですよね。

名越:
うん、僕は、今、ほとんどがそうなんじゃないかってぐらいの妄想を持っていますね。体の病気だったとしても、精神的にものすごく健康な人も稀にいますよね。

渋谷:
すごい力を持っていますね、私たちの心というのは。

名越:
そうですよね。だから真剣に立ち向かったらいろんなことを打開できるんだけど、やっぱり、僕もみんなも心が弱いから、なかなか立ち向かえないですよね。

渋谷:
でもたまに、無敵! って言う人いるじゃないですか。

名越:
いや、それはたまたま。短い短い調子がええ時期なのよ。やっぱりじゅんぐりじゅんぐりにみんな弱り目になるし、ものすごい迷うし、自分にはガラス細工のように弱い心があるってことを、長い人生の中で、人は何度も何度も体験するんだと思いますよ。

渋谷:
そう思うと、ある意味心強いですよね。

名越:
恐らく21世紀はいろんなことが足りてきた時期でしょ? でもそれが金融の不安とかで、不安定でしょ? だから人間の心がいかに弱いかってことを目の当たりにする世紀になると思いますよ。それで、人生をどうやっていくかってことを、僕もみんなも考えていかなアカン時期にさしかかると、僕は思ってるんですけどね。



『ふたりでゆっくりね、同じ方向を向いてずーっと歩くんです』



渋谷:
名越さんの本『名越式! キャラわかり』。これはどんな本なんですか?

名越:
僕が臨床で使っている方法を、どうやったら個人で、自分の性格をチェックできるか? っていうことに落とし込もうと思って、いろいろ苦労して書いた本なんですね。話を聞けば、その人の悩みっていうのは分かるじゃないですか。でも、その悩みに対してどんな風に思っているのか、その人はこれからどんな行動を取るのかっていうのは、人それぞれなんですよ。

渋谷:
えぇ。

名越:
その時に、それぞれの人によって傾向っていうのがあるんですね。それを10種類に分けて、こんなことが起こった時は、こんな行動を取りやすい、こんな考えを持ちやすいっていうことを系統立って10分類して、しかもチェックリストを付けて、ある程度自分で判断、診断できるっていう風に書いたのがこの本なんです。

渋谷:
10タイプというのは、ブレイン、シミュレーション、バランス、ミステリアス、アクティブ、ロマン、パワー、サポート、マイウェイ、マザータイプの10種類。

名越:
10種類もあるんですけど、実は2つずつセットになっていてね、ブレイン、シミュレーションっていうのは頭を使う人なんですよ。何でも行動する前に頭で考えちゃう。バランス、ミステリアスは、消化器。お腹が空いているか、空いていないかで、ものすごく気分が変わる。判断の基準も変わるっていうタイプの人なんですよ。

渋谷:はい。

名越:
アクティブタイプ、ロマンタイプっていうのは、行動型か、引きこもるかっていう。呼吸器なんですけどね。激しく行動すると息があがるでしょ? 行動しながら考える人。そういう風に体の各器官と、自分の根本(性格)は、実は、すごい結びついていると。そういうことから書いているの。

渋谷:
チェックリストの質問の中に、そういうのがありますよね。自分の姿勢についてとか、食欲についてのことだったり…。そういうことだったんですね。

名越:
実は人間の性格っていうのは、体の特徴に引っ張られてるっていうことなんです。

渋谷:
あぁそういうことなんですね、興味深いですね。私たちの番組は「いつもふたりで…」と言うことで、ふたりへのアドバイスとして、仲良くやっていく秘訣を教えてもらえませんか?

名越:
僕は良く言うんですけどね、友達でも恋人でも、1番簡単な方法は、ふたりで散歩をすること。

渋谷:
散歩!?

名越:
うん。できたら1時間くらい。15分くらいでは、なかなか呼吸が合ってこないんですよ。ちょっとね、日和のいい日にふたりでゆっくりね、同じ方向を向いてずーっと歩くんです。ほんでね、ちょっとくらいケンカしてたらね、30分くらいでもじもじしだして、1時間で仲直りしていると、僕は思います。2時間あったら完全に仲直りしてると思う!

渋谷:
へぇー。

名越:
それは同調性と言ってね、人と人が同じ歩調で歩くと、どんどん同調してくるの、身体が。そして同調すると感応するの。つまり相手の気持ちがふっと自分の中に入ってきたような気持ちになったり、自分の気持ちが相手に伝わったような気持ちになるの。それでたまに伝わってたりするの。

渋谷:
ホントですか!?

名越:
だからちょっと時間を取って、1時間くらい散歩したら、すごくいい関係になったり、あるいは、関係が深まったりすることすらあると思いますよ。

渋谷:
呼吸が合っていくんですね。


information

名越康文さんオフィシャルサイト >> http://www11.big.or.jp/~dialogue/

携帯サイト「名越康文のココラボ」 >> http://www.e-junction.net/

2009.06.06 O.A
精神科医
名越康文さん
1960年、奈良県生まれ。思春期精神医学、精神療法専門の精神科医。ラジオのDJをきっかけに、雑誌やテレビでの映画や音楽評論なども精神科医の視点で語る。人気アニメの主人公の性格分析をした『名越式!キャラわかり』(宝島社)など、著書も多数。また当番組「いつもふたりで…」6月からの新コーナー『Choice for Two』では、番組のコミュニケーション・アドバイザーとして毎週登場。

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2009年06月03日 15:22に投稿されたエントリーのページです。

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