漢方スタイリスト
吉田揚子さん
「すこやかに、うつくしく、ゆたかに暮らす」をキーワードに、書籍や雑誌の執筆や監修を中心に活動。2009年より漢方スタイリストとして、セミナー講師をはじめ飲食店とのコラボ商品企画&メニュー開発など「ライフスタイルとしての漢方」の魅力を伝えている。主な著書『漢方と暮らす。わたしが目覚めるエッセンス』 (幻冬舎)。逗子市在住。
渋谷:
漢方スタイリストって、私初めて聞くんですけど、どんなお仕事なんですか?
吉田:
去年の10月に日本漢方養生学協会というところが作った認定の資格なんですね。漢方の基礎理論とかを身につけて、四季の変化、それぞれの人の体質や症状の変化に合わせた“漢方生活”をスタイリングする人。つまりは、どう暮らしたらいいのかをアドバイスする人なんですけども、それが仕事に直結するという訳ではなくて、資格を取るために学ぶことによって自分自身の知識を増やしていく、そのための資格っていう感じですね。
渋谷:
そもそも“漢方”という言葉と“スタイリスト”という言葉が、なんか私の中であまり結びつかないというか、漢方薬とか薬のイメージが強いので…。
吉田:
あー、そうかもしれませんね。でも漢方って薬というわけではなくて。『一に養生、二に漢方薬』っていう言葉があるくらいで、漢方薬に頼る前に生活をちゃんとしていこうよって。生活をちゃんとすることによって治すというのが、元々の漢方の意味なんですね。それを補助するために薬を飲む、と。漢方の考え方は生活を大事にしているものなので、それをスタイリングしていくんです。
渋谷:
へー、スタイリッシュに聞こえますね。漢方に興味を持つようになったキッカケはなんだったんですか?
吉田:
以前、雑誌のライターをしていた時に美容とか健康系の記事を書いていたんですね。それでそういうことに興味を持つようになって、模索しているうちに自然と漢方に辿り着いたんです。で、たまたま横浜に「漢方ブティック」っていうのがあって、そこに通っているうちに漢方の本当の魅力を知るキッカケを得たんですよね。
渋谷:
吉田さんは『漢方と暮らす。わたしが目覚めるエッセンス』という本も書かれているんですが、漢方に目覚めた一番の理由は?
吉田:
漢方って、オーダーメイドなんですよね。誰にでもいいものではなくて、今の自分に一番いいものっていうのを教えてくれる知識なんですよ。そこがすごいなと思って。
渋谷:
へぇー。
吉田:
それと、自分本来が持っている自然治癒力を高めることで、身体全体を良くしていこうという発想があって。漢方はいろんな不調があっても、自分自身の力、免疫力などを高めることで、全部を一気に治しちゃう。
渋谷:
自分で治す力を誰でも持っているということ。
吉田:
そうなんです。備わっているんです。それとやっぱりメインは暮らし方を変えていくということ。食べ物だったりお茶だったり…、暮らし方を変えることで、心も体もキレイになっていく。それを美容法として用いるとかダイエット法として用いる感覚じゃくなくて、とにかく気持ちよく暮らすだけで、全部がいい歯車で回り出すっていう、その魅力。それを体験してしまったんですよ。
渋谷:
そこから漢方にハマってしまって、どんどん追求してきたんですね。
吉田さんのプチ漢方講座! 漢方を暮らしに取り入れる方法を教えていただきます。まずはどんなところから始めるといいですか?
吉田:
漢方は季節と密着していて、どうやって乗り切るか知恵がいっぱいあるんですね。じめじめした梅雨や暑い夏を乗り切るために一番のポイントになることは、要らないものを出し、必要なものを入れる。正しい出し入れ(笑)。余分なものは湿気と暑さ。そして元気をつける栄養やエネルギーを取り込んで行く。その出し入れを上手にすることが一番のポイントなんですね。
渋谷:
正しい出し入れ(笑)。具体的にはどうやればいいですか?
吉田:
出す、代謝でいうと、暑いからついつい冷たいものを食べちゃうじゃないですか。でもそれはあまり良くなくて、冷たいものを取って体を冷ますのではなくて、体の熱を冷ましてくれたり、余分な水分を排出してくれる性質を持つ食材ってあるんですよ。旬のものっていうのがそうなんですけど、キュウリ、トマト、スイカ、ナス、ゴーヤ、冬瓜とかね。
渋谷:
瓜系ですね。みずみずしてく美味しいですよね。
吉田:
そう。それで元気を入れるものっていうと栄養の部分なんですけど、気を高めてくれるカボチャ。エビ、キノコ、山芋とか。
渋谷:
それらを料理に使うとしたら、どんな方法がオススメですか?
吉田:
夏のイチオシはカレーですね。「夏野菜の薬膳スパイスカレー」みたいな。
渋谷:
うわぁー。ウマそう!(笑)。
吉田:
カレーってスパイスじゃないですか。スパイスは代謝を良くする効果があるんですが、むくんでるなと思ったら、さらに代謝が良くなるナスをいっぱい入れちゃうとか。家族の元気がないなと思ったら、焼きカボチャをトッピングしてみるとか、そういうアレンジをしていく。家族の様子を見ながらね。
渋谷:
漢方を知っていると周りの人も思いやれますよね。生活にも役立つし。
吉田:
そう、知るか知らないかだけなんですよね。漢方スタイリストのいいところはそういうところで、今日知ったことがすぐに役立つっていうところなんですよね。
・7月19日~「薬膳カレーセミナー」がスタート。
品川の漢方レストラン「10ZEN」とのコラボレーションで、漢方の知識や調理方法などが学べます。要予約。
「10ZEN」>>http://10-zen.com/
2009.07.04 O.A
漢方スタイリスト
吉田揚子さん
「すこやかに、うつくしく、ゆたかに暮らす」をキーワードに、書籍や雑誌の執筆や監修を中心に活動。2009年より漢方スタイリストとして、セミナー講師をはじめ飲食店とのコラボ商品企画&メニュー開発など「ライフスタイルとしての漢方」の魅力を伝えている。主な著書『漢方と暮らす。わたしが目覚めるエッセンス』 (幻冬舎)。逗子市在住。