快眠セラピスト
三橋美穂さん
寝具メーカーの研究開発部門長を経て独立。睡眠を多角的にとらえた実践的でわかりやすいアドバイスには定評がある。講演・執筆・個人相談の他、ベッドメーカーのコンサルティングやホテルの客室コーディネイトにも携わる。主な著書は『ねこに教わる快眠レッスン60』(PHP研究所)『幸せを呼ぶ 快眠ヒーリング』(日本実業出版社)など。
渋谷:
睡眠って、今注目の高いトピックだと思いますけど、現代人って寝不足の人も多かったり、眠りについて問題を抱えている人が多いんですよね?
三橋:
そうですね。大きなテーマのひとつだと思います。
渋谷:
原因としては、やっぱりストレス?
三橋:
ストレスも大きいですけど、それだけではなくて例えば、生活リズムの乱れだとか。不規則な生活が続いているとやはり睡眠の質も下がってきますので。あと食事も影響していたり。あと眠る前にどんな風に過ごしていたかとか。日中どんな風に過ごしていたか、活動していたことがすべて反映されるのが睡眠とも言えますので、様々な要素があります。
渋谷:
世の中にはあんまり寝なくても平気っていう人や、9時間以上寝なくちゃダメっていう人もいたりしますが、本当にいい眠り、快眠っていうのはどういうものなんですか?
三橋:
一人一人違うんですけども、一般的には、寝付きがスムーズに入れて途中で目覚めず、朝起きた時にすっきりしている状態っていうのは快眠と言えますが、快眠のバロメーターになるのは日中の状態です。
渋谷:
それでどう分かるんですか?
三橋:
睡眠の目的っていうのは脳と体を休ませてメンテナンスをすることなので、それが十分になされていないと、昼間、集中力がなくてぼーっとしてしまうとか、判断力が鈍ってミスが増えるとか、体もだるくて思うように動かないとか、そういう状態になってきますので。逆を言えば、自分はあまり眠れてないかなって思ってる人でも、日中に支障があるかどうか、支障がなければそれで大丈夫とも言えます。
渋谷:
じゃあ、起きてる時間に自分がどう感じているかっていうことを、気を使って見てみる、と。
三橋:
そうですね。日中の状態を見ながら、自分は何時間くらい眠ったら調子がいいのかっていうのを知っておくっていうのは大事ですね。
渋谷:
短い時間でもいい眠りにつきたいって方も多いと思うんですね。そんな時、普段どんなことを意識するといいんですか?
三橋:
まず寝室の環境。熱すぎず寒すぎず、快適な温室度であるとか、枕やマットレスが寝心地がいいとか、睡眠環境っていうのは眠りにダイレクトに影響しますから、快適な寝具を使うとか、環境に気を配るっていのはとても大切なことですね。
渋谷:
はい。
三橋:
それ以外にも眠る前にリラックスする時間を設けて、30分くらいでもいいですから、眠りに入る準備の時間を持つ。簡単にできることとしては寝始めに深呼吸をしながら寝ていくと、深呼吸をするだけでも眠りやすくなるんです。酸素がたくさん取り込まれますからリラックスできるんですね。すると睡眠中の呼吸が全体に深くなるので効率良く疲れが取れます。やってみてください。
じめじめとした梅雨の季節。そしてこれから寝苦しい夏がやってきますが、眠りが浅くなる原因はやはり暑苦しさ?
三橋:
そうですね。眠る時には体温が下がるんですが、1日のうちでも1度くらい体温の低い時と高い時の差があって、夕方が一番高くて、そのあと体温を下げながら、睡眠中はまたさらに下げて寝ているんですけども。でも体温を下げるためにいったん体の表面は温かくなるんですよ。だから手足が温かくなると眠くなるってね。
渋谷:
はー。そうですよね。トロンと眠くなると赤ちゃんみたいに温かくなる(笑)。
三橋:
それは内蔵や体の中心部分の熱を外に逃がしているんですよ。そうしながら体温を下げる必要があるんですけど、蒸し暑いと熱が外に逃げていかないので、眠りたいのに眠れない。
渋谷:
日本の夏はただ暑いだけじゃなくて湿気がすごい。それと上手くつき合って眠る方法はありますか?
三橋:
エアコンや扇風機を上手く使ったり、涼しい寝具を使いながら快適な寝室を作っていくっていうのがポイントです。例えばベッドパットなんかもウールから麻に変えてみるとか、シーツも綿よりも麻の方がひんやりと涼しいですし、今年はジェルのものも出てますけど。あとはい草、寝ござのような、張りがあって吸湿性の高いものは夏の寝具に向いています。
渋谷:
個人的に伺いたいことがあるんですけど、私、毎月のように5月病!?って思うくらい眠くなる時期が来るんですよ。これは何とかならないものですか?
三橋:
その時期っていうのは多分、月経の頃、もしくは月経の前くらいの頃が多いんじゃないですか?
渋谷:
うーん、あれは何なんでしょう?
三橋:
女性の眠りというのは女性ホルモンの影響をとても受けるんです。月経から排卵に向かう時期っていうのは睡眠時間が短くなってきます。そこでもし受精していたとしたら、そのあとは静かに大人しくしていた方が安全なので。だから月経の前から月経中にかけてっていうのは眠気が増してあまり動かないようになるんです。
渋谷:
女性の体ってすごいですね! じゃあその頃に眠くなるっていうのはごく自然なことで。
三橋:
そうですね。だからその時期はあまり無理せずに、スケジュールも抑え目にしながらその時期を抜けていくといいですね。
渋谷:
分かりました! ありがとうございます。
三橋美穂の快眠情報サイト「スリーピースカフェ」>> http://www.yokogarden.com/
2009.07.11 O.A
快眠セラピスト
三橋美穂さん
寝具メーカーの研究開発部門長を経て独立。睡眠を多角的にとらえた実践的でわかりやすいアドバイスには定評がある。講演・執筆・個人相談の他、ベッドメーカーのコンサルティングやホテルの客室コーディネイトにも携わる。主な著書は『ねこに教わる快眠レッスン60』(PHP研究所)『幸せを呼ぶ 快眠ヒーリング』(日本実業出版社)など。