景山えりかさん
ハワイ島マウナケアに登頂し、太陽・地球・月のシンクロを体感したことをきっかけに、2008年に「星のソムリエ(R)」の資格を取得。天文の知識を活かし、月のサイクルに合わせた生活術を提案するセミナーで講師を務めるなど、都会などの限られた環境の中でも肉眼で星を見ることの楽しさや、宇宙を身近に感じることの素晴らしさを伝えている。
渋谷:
「星のソムリエ」って初めて聞いたんですけど、普段はどんなお仕事をされているんですか?
景山:
天文学者と一般の人をつなぐような立場で。星についての疑問っていっぱいありますよね、それを分かりやすい視点で説明をするのが主な仕事なんですけども。
渋谷:
いつ頃から星に興味を持つようになったんですか?
景山:
2、3年前にハワイ島に旅行に行ったのがキッカケで。たまたま参加したツアーにハワイの最高峰でマウナケアという山があるんですけど、その山頂でサンセットを見るっていうのがあったんですね。標高が4200mくらいなんですよ。富士山より高い山で、そこで陽がだんだん沈んで行くのを待っている訳なんですが、見渡す限り雲海なんですよね。周り一面雲の世界で。その中でだんだん西の空がオレンジ色に染まっていって太陽が沈んで行く…。反対側の東の空には白い月がぽっかりと浮かんでまして。今、地球の上に自分が居て、西には太陽が沈んで行く、東からは丸いお月様が上って来る、しかも雲海の上で! そのシチュエーションを体験した時に鳥肌が立って、日常生活とは違う神秘な体験だったんですよね。
渋谷:
へぇー! それでどういう風に星のソムリエの資格に出会ったんですか?
景山:
日本に帰ってから自分で本を買ったり、インターネットで調べたりして独学で天文学を学び始めたんですけれども、やっぱり自分だけでやるには限界があるというか。ちょうどインターネットで星のソムリエになるための認定講座があるというのを知りまして。山形が発信源だといことが分かったので、山形の講座に滑り込んだんですよ。
渋谷:
すごい行動派ですね! マウナケア山に登ったのがすごい衝撃的だったんでしょうね。
景山:
人生の転機ですよね。
渋谷:
景山さんをそこまでにした星の魅力って?
景山:
それまでは、海とか山とか特別な場所で見るのが“星空”って考えていたんですけども、実は、見上げれば横浜にいても東京にいても空は続いていて、自分の頭上に美しい宇宙が広がっているんだっていうことをハワイの体験から気づいたんですよね。ハワイの文化の中で、万物は相互関係にある、調和の中で存在するっていう考え方があるんですね。そういったことも知ったことで、今いる自分の日常…忙しくて星も見ないような日常と、その星を見る心の余裕がある生活っていうのは実はつながっているんだって。だから旅行に行かなくても自分の意識を変えるだけで、自分だけの星空っていうのは楽しむことができるんじゃないかなって思ったんですよね。
渋谷:
はぁ。すごい存在なんですね…。
景山:
私たちも地球っていう惑星にいて、宇宙から俯瞰して見ればその広大な宇宙の中に存在している訳ですから、そういう風に視点を切り替えて行くと“なんか私たちもすごいんだな”って思いますよね(笑)。
渋谷:
すぐ真上なのにものすごいスケールが大きい! みんなつながっている、見えているものも未知も全てつながっているって、ホントにワクワクしますね!
今の季節、夜空には何が見えますか?
景山:
今なら是非“夏の大三角”を見ていただきたいと思うんですよね。ちょうど北の地平線から南の地平線に向かって天球上を天の川が立ち上っているんですが、そこに夏の星座を代表する、こと座のベガ(織り姫星)と、わし座のアルタイル(彦星)が南の空を見た時に天の川のちょうど対岸に位置するような形に見えるんですよ。
渋谷:
へえー。そこに七夕のストーリーが…。
景山:
そうですね。七夕の伝説だと織り姫と彦星が会えるのは年に1度、カササギっていう鳥が天の川に橋を渡すようにして2人が会えるっていうことになっているんですけど、まさにそのカササギの役を果たすかのように、こと座とわし座のちょうど上の辺りに白鳥座がそびえていまして。デネブって言うんですけども、そのデネブとベガ(織り姫星)、アルタイル(彦星)、この3つの星を結ぶとちょうど三角形になるんですね。非常に明るい星なので横浜近辺でも見れると思います。
渋谷:
肉眼で見えるんですね?
景山:
とっても明るい星なので見えます。ご自宅でベランダから観察する時は部屋の明かりがベランダに漏れないように明かりを消して、9時頃に南の空を見ていただくと、大きな三角形が見えると思うので。天の川は見えないところが多いと思うんですけども、その三角形の中を天の川が通っているんだってことを想像しながら見ていただくと楽しめるんじゃないかと思います。
渋谷:
素敵ですね~! 天文学ってサイエンスなんだけど、そういうストーリー性がありますよね。そして今年は「世界天文年」なんですよね?
景山:
イタリアの科学者でガリレオっていう人がいるんですけど、彼が作った望遠鏡で宇宙観測の扉を開いたのが1609年なんですね。それで今年400年の記念の年で。国連、ユネスコ、国際天文学連合が、今年2009年を「世界天文年」にしましょうということで、世界中で天文のイベントや講演会、フェスティバルが開催されています。
渋谷:
じゃあ今年、天文学界は盛り上がっているんですね。その中で何かおすすめのイベントとかはありますか?
景山:
環境によっては実際の星空が楽しめないっていうこともあると思うので、映画がおすすめですね。8月21日(金)から全国で公開される『宇宙(そら)へ。』という映画。ドキュメンタリー映像になっているので、実際、どういう風に人類と宇宙が関わりを持って、宇宙開発が進められてきたかとか、アポロ計画の話であったり、ロケットの話であったりとか…。宇宙の映像はもちろん楽しめる壮大な映画だと思います。
◆景山えりかオフィシャルウェブサイト>> http://www.cosmic-life.net
◆景山えりかブログ>> http://ameblo.jp/cosmic-life/
2009.08.15 O.A
星のソムリエ®
景山えりかさん
ハワイ島マウナケアに登頂し、太陽・地球・月のシンクロを体感したことをきっかけに、2008年に「星のソムリエ(R)」の資格を取得。天文の知識を活かし、月のサイクルに合わせた生活術を提案するセミナーで講師を務めるなど、都会などの限られた環境の中でも肉眼で星を見ることの楽しさや、宇宙を身近に感じることの素晴らしさを伝えている。