書家
紫舟さん
6歳から書を始め、奈良で3年間研鑽の後、東京進出。2004 年、AU 芸術国際ヴェネツィア・ビエンナーレ選抜展ディ・マウロ賞受賞。華道家・假屋崎省吾、三味線・上妻宏光とのコラボレーションや、浜崎あゆみのミュージックフィルム 『月に沈む』、NHK『美の壺』などに題字を提供。来年の大河ドラマ『龍馬伝』の題字も担当。
渋谷:
紫舟さんの作品、ホームページで拝見させていただきました! 見事なものばかりで…芸術ですね。言葉以上のものを、何か、語っていますよね。
紫舟:
ありがとうございます。
渋谷:
私、先ほどスタジオに来る前にテレビをつけてたらコマーシャルに、なんと、紫舟さんの書が…!
紫舟:
今、2本くらいコマーシャルに書を提供しているんです。
渋谷:
小雪さんが出演している化粧品のコマーシャルで「力」という文字が映るんですよね。力強く、でも繊細に…。
紫舟:
女性の醸し出す「力」をイメージして書いています。
渋谷:
これまでもコマーシャルやテレビ番組のタイトルなどを手がけていらっしゃますよね。そういう依頼を受けた時はどうやって入っていくんですか?
紫舟:
例えば映画でしたら、台本を読んだりだとか、監督の伝えたい想いを十分伺って、そこにふさわしい表現をするにはどうしたらいいんだろう? と考えて、表現したいことと表現物が一致するように務めています。
渋谷:
もちろん日本語で、日本語の中の漢字だったり、ひらがなだったり、カタカナだったり、限られた範囲の中で、あれだけ表情豊かに書くっていうのはなかなか難しいことじゃないですか。絵だったら何でも描けちゃうけど…。
紫舟:
書は、掛け軸のような美術品的な要素もあるんですけど、それ以外に“文字を表現する”という力があるのではないかなと思っています。例えば、同じ「命」という文字を書くにしても、フォントで打ってしまうと文字通りの意味でしかなくて、それ以上の意味は無いんですけど、“書”という表現手段を用いると、例えば産まれたばかりの命であったり、ガンを克服した人が書いた命であったり、命を感じないくらい生命力にあふれた20代の命であったりとか、そういうものが書き分けられるんじゃないかな、と。そういう力が書にはあるんではないかな、と思っています。
渋谷:
本当に紫舟さんの作品を見ていると、何て言うのかな…その先を見てみたくなるし、想像力を刺激されますよね。
今日は紫舟さんに書の道具を一式、スタジオに持ってきていただいています。「いつもふたりで…」という番組なので、できれば“ふたり”をテーマにしたことを書いていただけないでしょうか?
紫舟:
はい、分かりました。
渋谷:
インスピレーションで(笑)。この筆なんですけれども、かなり毛の部分が長いですね。
紫舟:
「長峰(ちょうほう)」という筆なんですけど、小筆ぐらいの毛の量で、毛の長さが15センチくらいありますね。羊毛のとても柔らかくてふにゃふにゃしてます。
(おもむろに書を書き始める紫舟さん)
渋谷:
すごい! 一瞬にして書き上がりましたね…。タイトルの「いつもふたりで。」と書いてくださいました!
紫舟:
“ふたり”という言葉は、やわらかかったり、優しかったり、思いやりに満ちていたりとか、そんなやわらかさで書けたらいいなって思いました。
渋谷:
そういう“ふたり”になりたい!って思うような、ふっくらとやわらかい“ふたり”ですよね。さて、紫舟さんが企画する素敵なイベントが、間もなく開催されるんですよね。恵比寿ガーデンプレイスで行われる「ラブレター・プロジェクト」。これはどんなイベントなんですか?
紫舟:
今年で3年目となるイベントなんですけども、私たちは豊かな国の、豊かな時代に生まれることができて、遠くの国のたくさんの人達を助けることができているんですが、遠くではなくて自分の近く…周りを見渡してみると、愛されていることを忘れてしまっていたりとか、抱えきれない孤独と寂しさの中で生きている人がいることを知りました。
渋谷:
えぇ。
紫舟:
これまでたくさんの人達にもらってきた愛情を、今それを必要としている次の誰かに届けることができるんじゃないかな?って。そうすることで、その人達に1人じゃないんだよ、あなたの幸せを願う誰かが必ずいるんだよってことを思い出してもらえるように、このラブレター・プロジェクトを立ち上げました。
渋谷:
どんなことをやるんですか?
紫舟:
この1年間で、子ども達をはじめいろんな人達に書いてもらったラブレターの展示や、私の作品展。あとは著名人が書いてくれたラブレターを展示しています。それから「思いを伝えるラブレター・ワークショップ」というのも行います。
渋谷:
ワークショップはどなたでも参加できるんですか?
紫舟:
はい。今年は「大人から子どもへ」というテーマで、子どもから大人まで、皆さん参加できます。書の道具はほとんど用意しているので筆記用具ぐらいお持ちいただければな、と思います。
渋谷:
字に自信が無くても大丈夫ですか?(笑)
紫舟:
大丈夫です! 思いが伝わる書を一緒に生み出して行きます。なかなか書を書くとなると気負ってしまったり、道具を揃えるのが大変だと思うので、全部用意して感動と共にお待ちしています!
渋谷:
なかなか書を書く機会無いですものね。この機会にぜひ皆さんにも訪れていただきたいですね。
紫舟:
自分のことだけでも精一杯で忙しい日常の中で、少し時間を止めて誰かを想いながら心を、そして時間を費やして、自分の言葉でつづり、愛する人とや、家族、友達などに、思いやりを伝えられたらいいなと思っています。
◆ラブレタープロジェクト >>http://www.e-sisyu.com/llp/workshop_f.html
*10月10日(土)11日(日)恵比寿ガーデンプレイスで開催。
2009.09.19 O.A
書家
紫舟さん
6歳から書を始め、奈良で3年間研鑽の後、東京進出。2004 年、AU 芸術国際ヴェネツィア・ビエンナーレ選抜展ディ・マウロ賞受賞。華道家・假屋崎省吾、三味線・上妻宏光とのコラボレーションや、浜崎あゆみのミュージックフィルム 『月に沈む』、NHK『美の壺』などに題字を提供。来年の大河ドラマ『龍馬伝』の題字も担当。