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091114 ゲスト 昆虫写真家 海野和男さん

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昆虫写真家 海野和男さん

1947年、東京生まれ。もの心ついたころから昆虫に魅了され、学生時代よりアジアやアメリカの熱帯雨林に通い写真を撮り続ける。1990年より長野県小諸市にアトリエを構え身近な自然を記録している。ホームページ「小諸日記」では1999年2月よりデジタルカメラで撮影した写真にコメントを付けて毎日更新中。

『僕、虫が好きなんで、やっぱりキレイに撮ってあげたいですよね』

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渋谷:
海野さんのホームページ「海野和男のデジタル昆虫記」拝見しました。昆虫の世界もキレイなんですね~!

海野:
そうですね。僕、虫が好きなんで、やっぱりキレイに撮ってあげたいですよね。

渋谷:
ふふふ(笑)私はね、正直なところ虫はやっぱり苦手なんですよ…。

海野:
そりゃそうだ。いいんですよ、別にね。虫の場合は人に好かれたいと思って生きてるわけじゃないですからね(笑)。どちらかと言うと人に嫌われたいと思ってた方が安全じゃない? 好かれてもいじくりまわされたり、捕まえられたらイヤでしょ?

渋谷:
そっか! 海野さんは、最近マレーシアに行かれたばかりなんですよね。

海野:
そうですね。熱帯雨林があって、マレーシアも日本と同じように交通機関も発達しているんですけども、人が日本より少ないですね。日本と同じくらいの面積に2千万人ですから。その分ジャングルがいっぱいあるのよ。そこに日本の5倍、10倍の虫がいたりするんですね。それでマレーシアには毎年、暇を見つけては行ってるんです。

渋谷:
40年間、通われているそうですね(笑)

海野:
そこに、すごい大きなチョウチョがいて。“アカエリトリバネアゲハ”って言うんですけど、これが好きで! それに毎年会わないと気がすまないんですね。

渋谷:
ふふふ。昔の恋人に会いに行く感覚なんですかね(笑)。マレーシアに棲んでいる虫の顔と、日本に棲んでる虫の顔っていうのは若干違うんですか?

海野:
派手だったり、色がキレイだったり。日本と同じ面積に5倍ぐらいの種類がいますからね。1種類当たりの個体数は少ないんですけど、種類が多くてバラエティーに富んでいるの。だから日本で見るよりも面白いですね。

渋谷:
今回マレーシアに行かれて何か珍しい昆虫と遭遇する機会はありましたか?

海野:
ホタルにそっくりなカミキリムシを見つけたんですよ。実はホタルだと思って撮ったの。あとで写真見たらカミキリムシじゃん!って。ホタルっていうのは鳥が食べるとまずいらしんですよ。苦いの。それでホタルに似てると鳥に食べられないっていうことで、そういう虫がいるの。ところが、そこにいたカミキリムシっていうのは、とても珍しい種類だったみたいなの。僕はそんなこと分からなかったんですけど、そういうのを研究してる人が、僕のホームページを見て「すごいものを見せてもらって、ありがとう!」ってメールをくれて、びっくりしたの。

渋谷:
珍しい昆虫だったんですね。でも昆虫って種類が多いだけ、いろんな環境に行けばその土地の新しい昆虫に出会えるし、常に新しい発見がありそうですよね。

海野:
なんせね、世界には昆虫が100万種類もいるんですよ。これは名前がついてる昆虫だけ。実際には1千万種くらいいるかもしれない。毎日1種類見ても1年で300種類、10年で3千600種類、100年で3万6千種類、千年生きないと見れないですよ。だからいつまでも飽きないわけですよね(笑)

『昆虫のメッセンジャーですね』

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渋谷:
海野さんは、そもそもどういうキッカケで昆虫写真家になろうと思ったんですか?

海野:
子どもの頃から虫が好きだった。子どもの頃から写真が好きだった。そしたら昆虫写真家しかないでしょ(笑)。たまたま好きで撮った写真を雑誌で扱ってくれたのね。『朝日グラフ』っていう雑誌で1枚使ってもらったら原稿料をもらえたの。ちょうど大学卒業する時で、将来何をしようかって悩んでた時だったので、それで次の日から昆虫写真家。

渋谷:
…と、名乗った(笑)。

海野:
はい。それで40年経っちゃいましたね(笑)

渋谷:
好きだとそれだけ自分の道っていうものは開いていけるものなんですね。でも、ホ乳類ってなんとなく想像がつくじゃないですか。目があって、形はこんなので…って。だけど昆虫って私にとってはすごく意外性が多いので、ホント宇宙から来たんじゃないかって。

海野:
でもね、目が2つあったり、そういう共通点もある。犬や猫とかは、せきつい動物と言って骨がある動物ですよね。骨がある動物は大きくなることを選んだんですよ、骨が支柱になって大きくなれるんですよ。だから恐竜みたいなのができたりして。昆虫は骨が無いんです。で、外側が骨なんですよ、外骨格って言うんですけど、それであまり大きくなれないんだって。

渋谷:
良かった! もし昆虫がこれより大きくなったら、私心配で…!

海野:
1メートルのカマキリなんかいたら、大変ですよ! 僕ら食べられちゃうから。

渋谷:
そうそうそう! 良かった安心した~!(笑)

海野:
(笑)例えば、そういう虫が1メートルとかになったら、重さでつぶれちゃうんだって。

渋谷:
進化論でゴキブリが、ものすごい大きさになるってことは無いんですね!(笑)

海野:
どんどん小さくなることはありますけど、大きくなることは無い。小さくなることを選んだんです。小さくなって代わりに種類を増やすと。だから種類がいっぱいいる。

渋谷:
昆虫写真家として、海野さんは、一番どんな瞬間を押さえたいと思っているんですか?

海野:
それはやっぱりね、昆虫が闘ったりとか、身を守ったりとかね、後尾したり、卵を産んだりとかね、そういう生きている瞬間ですね。

渋谷:
生きている瞬間。

海野:
あとは、いろんな種類がいるんで、なかなか見れないですけど全部見たい。死ぬまでに。って思ってるんだけどなかなかね全部は見れませんね(笑)。まだまだ行ってないところもあるから、今度はどこに行こうかなって楽しみにしてますね。

渋谷:
昆虫写真家としての使命、ミッションというのは?

海野:
僕は子ども達とか一般の人に、この地球っていうのは僕たちのものだけじゃなくて、虫たちとかいろんな生き物で成り立っているんだよ。その中で昆虫の存在にも目を向けてくださいねって、普及員のつもりで。昆虫のメッセンジャーですね。もしかしたら昆虫だったのかもしれない(笑)。まぁ、人間に昆虫に対するイヤだという感覚を減らして欲しいなぁと。

渋谷:
写真を通して、写っている蝶の、さらにその先の世界まで皆さんに興味を持っていただく…。

海野:
写真の使命ってそういうところにあるのかな、と。自然の素晴らしさとか、自然を考えてもらえるキッカケになればと思いますね。

information ◆海野和男デジタル昆虫記 >>http://eco.goo.ne.jp/nature/unno/
◆最新写真集『蝶の道 Butterflies』(東京農工大学出版会刊)

guest091114_1.jpg2009.11.14 O.A


昆虫写真家 海野和男さん
1947年、東京生まれ。もの心ついたころから昆虫に魅了され、学生時代よりアジアやアメリカの熱帯雨林に通い写真を撮り続ける。1990年より長野県小諸市にアトリエを構え身近な自然を記録している。ホームページ「小諸日記」では1999年2月よりデジタルカメラで撮影した写真にコメントを付けて毎日更新中。

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2009年11月12日 16:27に投稿されたエントリーのページです。

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