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091121 ゲスト クックパッド 佐野陽光さん

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クックパッド 佐野陽光さん
1973年生まれ。日本最大の料理レシピ投稿サイト「クックパッド株式会社」社長。慶應大学湘南藤沢キャンパスでインターネットに親しむ。「日本の料理を楽しくする」をモットーに、98年に料理レシピの投稿サイトを開始。現在、サイトの月間利用者数は810万人を超える。携帯電話向けサービス「モバれぴ」も好評。
『スカッとした笑顔、心からの笑顔を増やしたい』

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渋谷:
クックパッドと言えば、インターネットでレシピを検索したことがある方なら誰でも知っている大人気サイト!

佐野:
ありがとうございます。

渋谷:
私もいろんなレシピ参考にせていただいてます! 美味しそうなレシピがいっぱい載ってますよね。

佐野:
もう今、64万品くらいありますね。

渋谷:
すごい! レシピをアップされているのは、どういう方々なんですか?

佐野:
主婦の方とか、普通の家庭で料理をされてる方が、自らレシピを上げていただいてますね。

渋谷:
クックパッドのサイトが立ち上がって12年目。こんなユニークな発想はどんなところから生まれたんですか?

佐野:
どちらかと言うと僕がやりたかったのは、生活の中の料理を楽しみにしたい。これが楽しみになれば、すごくいい世の中になるだろう、と。間違いないという確信があったんですね。

渋谷:
大学を卒業してすぐ?

佐野:
そうですね。その時期っていろいろ悩むじゃないですか。自分は何をしたいんだろう? 何のために生まれてきたんだろう? とかいろいろ考えたんですけど、最後まで残ったのは、スカッとした笑顔、心からの笑顔を増やしたい、苦笑いでないっていうのが、間違いない自分の価値観としてクリアに見えて。それで、どうやったら笑顔を増やせるんだろう? と。でもなかなか難しいんですよ。

渋谷:
難しいですよね。

佐野:
信じきれるものっていうのがなかなか無くて。でも、生活の中で料理が楽しみになれば、これをキッカケに間違いなく心からの笑顔が増えるだろうっていう確信が持てたんですよね。

渋谷:
確信が持てたというのは、やはり自分の中で美味しいものを作った時、食べた時に、みんなと食事の時間を楽しむことでスカッとした笑顔になるというのを、ご自身でも体験されて?

佐野:
そうですね。友達とケンカしても美味しいものを食べに行ったら“あれ? 何だったっけ?”ってことになったりすることもあるだろうし。あと僕は、大学時代に野菜を売ってたこともあって、地元の人が地元の野菜を買えるようにって。そうすると農家の方と親しくなるんですけども、農家の食卓は非常に豊かなんですよ。そんないろんなキッカケがあって、生活の中で料理が楽しみになればって…。ただ周りを見渡してみると、料理ってどんどん作業になっている。できるだけ時間をかけたくない、とにかくお腹を満たすっていう風になると、食べることも作業になり、どんどん悪循環になってしまう。その中で失われていることってたくさんあるはずなんですよね。

渋谷:
そうですよね。

佐野:
だけど、それが楽しみになるキッカケが、家の生活の中にあれば、間違いなくすごくいい方向に世の中が行くだろうってのは、もう想像に破綻が無いんですよね。それで世界にひとつぐらい、料理を楽しみにすることだけを徹底的にやる会社があってもいいだろうっていうのが、クックパッドのそもそもの始まりで、これからもやり続けることですね。

『すごく鍵を持っているのが、実は日本の食』

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渋谷:
クックパッドのサイト自体もとてもユニークなんですけれども、佐野さんのオフィスもユニークで、なんとキッチンがあるそうですね。何用のキッチンなんですか?

佐野:
スタッフが料理をするためのキッチンなんですが、そもそもは引っ越しをする時にスタッフに“改善したいことは?”って聞いたら、一番多かったのが、“クックパッドで働いていて自分たちが料理を楽しめないっていうのはおかしいんじゃないの?”って。

渋谷:
確かに!(笑)

佐野:
それで自分たちが気軽に料理できるようなキッチンをオフィスに作ったところ、すごくいい効果があって。料理ってひとりだけじゃ無いんですよね。誰かが手伝ったりとか、誰かと一緒に食べたりとか、普段だとコミュニケーションが起きないような人とコミュニケーションが起きたりとか。あとはオフィスに来るお客様に、僕らが本気で料理を楽しみにするんだっていうのが伝わるようになったんですよね。

渋谷:
玄関を開けた時から匂いでもアピール(笑)

佐野:
そういうのが、実は会社のミッションに、みんなのエネルギーを合わせるためのひとつのシンボルみたいになっているので、キッチンを作って良かったなって。

渋谷:
これからの食の世界のビジョンってありますか?

佐野:
僕らが生まれた時代って、日本は人口が減ってるんですけど、世界の人口はすごい勢いで増えてるんですよ。必ず僕らが生きている間にエネルギーと水と食料っていうのは、解決しなくちゃいけない問題なんですよね。その時に、すごく鍵を持っているのが、実は日本の食…。世界に役に立てる何か鍵を持っている、いい文化を持っているんじゃないかと思うんですね。

渋谷:
はい。

佐野:
それは単に日本食というのではなくて、地域のものを生かす。山には山の幸があり、地方には地方の、家庭には家庭の味があったりする。やっぱり家庭の食とか家庭の料理っていうところにヒントがあると思っていて、これがすごく今、日本ってレベルが高いし、これだけ経済発展しても活発に動いているというのが、すごいところだと思うんですよ。家庭の料理というものを、どうにか、すごいスピードで変わり行く世界に提供できれば、すごくいい世の中になるんじゃないかなと。食料の問題とかも解決の糸口が見えて来るんじゃないかなとは思ってるんですけどね。

渋谷:
食事って1日3回あって、その中の1回はちょっと手を加えたものを作ることによって、食に対する考え方も変わってきますよね。

佐野:
そうですね。何も凝った料理をって言うんじゃなくて、ちょっとしたことから料理が楽しみになってっていうのでもいいと思うんですよ。ちょっと作ってみる。そこからが大事だと思うんですよね。

渋谷:
最近、あまり料理してないな、面倒くさいなって言う方もいらっしゃるかもしれないんですけど、是非クックパッドのサイトを参考に料理を楽しんでもらいたいですよね。

information ◆クックパッド >>http://cookpad.com/

guest091121_1.jpg2009.11.21 O.A


クックパッド 佐野陽光さん
1973年生まれ。日本最大の料理レシピ投稿サイト「クックパッド株式会社」社長。慶應大学湘南藤沢キャンパスでインターネットに親しむ。「日本の料理を楽しくする」をモットーに、98年に料理レシピの投稿サイトを開始。現在、サイトの月間利用者数は810万人を超える。携帯電話向けサービス「モバれぴ」も好評。

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2009年11月19日 16:23に投稿されたエントリーのページです。

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