タップダンサー 熊谷和徳さん
1977年仙台市生まれ。15歳でタップを始め19歳で渡米し「Noise&Funk」の出演者養成学校へ入学。タップ界の伝説グレゴリー・ハインズに絶賛されるなど頭角を現す。04年帰国後は、ソロ公演やアーティストらとのセッションなど精力的に活動。私生活では09年に歌手のカヒミ・カリィさんと結婚。一女のパパに。
渋谷:
2010年最初のゲストは、日本を代表するタップダンサー熊谷和徳さんです! 熊谷さんはどんなキッカケでタップの世界に入られたんですか?
熊谷:
タップが好きで、もうそれだけなんですけど(笑)。自分がプロになるとか考えたことは無くて。劇団とかに入らないとプロにはなれないと思ってたし…。でもそれがニューヨークに行って、自分だけで活動しているタップダンサー達に出会って、自分もそういう人達みたいになりたいなって思って。
渋谷:
えぇ。
熊谷:
やり続けていくうちに、いろんな出会いからお仕事につながっていって、今、幸運にもタップでやっていけてるというか…。
渋谷:
すごいですよね~。タップを始めた一番最初のキッカケは何だったんですか? 私と熊谷さんは同じ世代ですけど、テレビでタップダンサーが活躍していただとか、タップダンサーが目立っていたっていうのも無かった気がするんですけど…。
熊谷:
僕は偶然、マイケル・ジャクソンが「スリラー」のミュージックビデオで賞を取った時に、昔のタップダンサーで、サミー・デイヴィスJr.とか、フレッド・アステアみたいな人達に “この賞を捧げる” みたいな感じで、その人達の映像が映ったんですね。それがタップで、“うわぁすごいカッコイイ!” と思って。
渋谷:
はい。
熊谷:
それで10年ぐらいして、グレゴリー・ハインズっていう人のタップをテレビで観て、“もう絶対にやりたいな”って思って。
渋谷:
熊谷さんは19歳の時に、タップを追求しにニューヨークに行かれたんですよね。私もちょうど同じ時期にマンハッタンにいて、ダンススタジオに通っていたんですけれども、やっぱり主流は、バレエ、モダン、ジャズで、タップクラスって少ないですよね?どうやってタップのクラスを見つけたんですか?
熊谷:
ニューヨークに行ったらタップをやってる人がたくさんいるんじゃないかって思ってたんだけど、実際はあまりいなくって(笑)。それでどうしようって思ってたんですけど、道を歩いていたら『Noise&Funk』っていうミュージカルがちょうど始まったところで、劇場の前にセヴィアン・グローバーっていうタップダンサーがいて、“あれ? セヴィアンがいる!”とか思って、そのショーを観たりして。そこでテレビで観たことがあるような人達にたくさん出会ったんですね。
渋谷:
えぇ。
熊谷:
それで、そういう人達が集まる場所っていうのがあるんですね、小さいジャズクラブなんですけど。80歳ぐらいのダンサーとか、グレゴリー・ハインズやセヴィアンとか、みんなそこに集まってセッションとかしてるんです。
渋谷:
すごい場所ですね~!
熊谷:
そうそう(笑)。ストリート文化っていうか、スクールよりも道でみんな覚えるっていうのが昔からあったみたいで。ジャズクラブのセッションとか、実践的なのが、自分にとってはレッスンになっていたかなって思いますけどね。
熊谷さんが昨年の夏にリリースされたDVD『FRAGMENTS』、私も拝見させていただきました。ホントにカッコイイです!
熊谷:
いやいや、お恥ずかしい感じで…(笑)
渋谷:
映画チックですよね。ドキュメンタリーなんだけど、映画のように撮影されていてムーディーで雰囲気もあって。
熊谷:
ありがとうございます。
渋谷:
熊谷さんのタップって、ドラムスティックで音を出しているのかって思うくらいステップが細かいんですけど、即興で踊れるようになるまでにどういった練習を重ねて行くんですか? 決まったステップとかあるんですよね?
熊谷:
そうですね。基本のステップがあって。でも即興っていうのは、自分の感覚っていうか、教えられるものじゃないと思うんですよね。ニューヨークに行って即興で踊るっていうのは、ひとつの壁で。みんな覚えたら適当に踊っちゃうみたいな感じだったんですよ。でも、僕は日本人で、教わったことをきちんとやらないといけないんじゃないかって(笑)
渋谷:
分かります(笑)
熊谷:
でも向こうでは “思うままにやれ” って言われて。それがすごく難しいなと思って。白いキャンバスを与えられて自由に絵を描いてみなさいって言われているような感じと言うか…、それには正しいとか間違いは無いってことに気づいて、“もう何でもいいんだ!” って、壁をぶち壊すっていうか…。それが面白いところでもあるなと思います。
渋谷:
DVDの中には、昨年3月に東京国際フォーラムで行われたソロパフォーマンスの映像も含まれているんですけども、ああいう大きな場でタップを披露するっていうのは、いかがでしたか?
熊谷:
普段はミュージシャンとかとセッションをするんですけど、フォーラムで演った時は最初から最後まで自分ひとりで踊るっていうことをテーマにしていて。…逃げ道が無い(笑)
渋谷:
頼れないですよね(笑)。でも、ああいうホールでタップの音を響かせるとカラッとした感じが気持ちいいんじゃないですか?
熊谷:
そうですね。やっぱりホールの響きもあるし、人に共鳴する感じがすごくあって、こう…やってきて良かったなって思える瞬間ですね。
渋谷:
2010年はどんな1年にしたいですか?
熊谷:
毎年思うことではあるんですけど、“最高の年にするぞ!”っていう。自分のやりたいこととか、まだやれてないことも全部やりたいなって思ってます。
渋谷:
それから熊谷さんはスタジオを経営されていて、普段から教えていらっしゃるんですけども、もうすぐワークショップが行われるんですよね!
熊谷:
中目黒の「KAZU TAP STUDIO」で、1月5日、6日、7日にワークショップを行います。6日はOlaibiという強烈なパーカッショニストと、7日はASA-CHANGとのコラボレーション企画で。リズムレッスンあり、セッションありなので、タップとかやったことが無いという人も見に来て欲しいなと思います!
◆KAZU TAP STUDIO >>http://www.kaz-tapstudio.com/
*ワークショップの問い合わせ・申し込みもコチラからどうぞ。
◆最新DVD「FRAGMENTS」公式サイト>>http://shopkrk.co.jp/item/fragments/
2010.1.2 O.A
タップダンサー 熊谷和徳さん
1977年仙台市生まれ。15歳でタップを始め19歳で渡米し「Noise&Funk」の出演者養成学校へ入学。タップ界の伝説グレゴリー・ハインズに絶賛されるなど頭角を現す。04年帰国後は、ソロ公演やアーティストらとのセッションなど精力的に活動。私生活では09年に歌手のカヒミ・カリィさんと結婚。一女のパパに。