渋谷:
新城さんは今年7月、世界で最も有名な自転車レース「ツール・ド・フランス」に出場されて、なんと日本人史上初の5位入賞を果たされました! おめでとうございます!
新城:
ありがとうございます!
渋谷:
今日は自転車についていろいろ伺っていきたいと思うんですが、まず最初に、新城さんが自転車と出会ったのはいつ頃だったんですか?
新城:
僕の父が趣味でロードレーサーに乗ってたので、身近に自転車がある環境だったんですけども、僕が自転車の世界に入ったのは高校を卒業して19歳の時ですね。
渋谷:
そこからレーサーの道を目指したのは何かキッカケがあったんですか?
新城:
僕、中学、高校とハンドボールをやってたんですけど、沖縄はハンドボールが盛んなんで。それで大学でもハンドボールをやりたかったんですけども、大学受験に失敗しまして、どうしようって。その時に父の知り合いのロードレーサーの福島晋一選手に「フランスに来て自転車をやらないか?」って、飛行機代出してくれて。それで、別に自転車選手になろうと思った訳ではなく、3ヶ月遊んで、帰ってきたらまた受験勉強すればいいやって。そんな感じでフランスに渡ったんですよね。
渋谷:
すごーい。
新城:
フランスに行って3ヶ月で帰るつもりだったんですけど、自転車をやってみたら面白くてこっちの方がいいなって思って。それで自転車選手を目指そうって。
渋谷:
沖縄からフランスへ行かれて、カルチャーギャップとかは無かったですか?
新城:
全く無かったですね。
渋谷:
全く無かった!?(笑)
新城:
福島選手の家に一緒に住まわせてもらったんですよ。だから言葉もそんなに苦労しなかったし、ご飯も一緒に食べてたんで、和食とか作って…。僕は初めてそこで自炊をしたんですけど、石垣島にいる頃は母に任せて家事は一切しなかったんですけど、全部自分でやるようになって。
渋谷:
いろんな意味で鍛え上げられたんですね。
渋谷:
ツール・ド・フランスという大会は、オリンピックやサッカーのワールドカップに次ぐ、世界で3番目に大きいスポーツのイベントと言われているんですよね。
新城:
そうですね。
渋谷:
でも日本ではまだそこまで注目を浴びていないような感じがするんですが…。どんなロードレースなんですか?
新城:
簡単に言えば「フランス一周レース」で、21日間かけてフランスを1周するレースなんですね。一周と言っても21日間で3,500kmくらいですね。
渋谷:
20チーム180人の選手が一斉にスタートを切って、1日どのくらい走るかが決まっているんですよね?
新城:
そうですね。第1ステージ、第2ステージと分けて21日間走るんですけど、だいたい1日平均200kmくらいですかね。
渋谷:
そしてコースによって難度が違う。
新城:
平坦な道もありますけど、上りもあって、0mから2,500mくらいまで上る時もあるんですよね。だから “用意スタート” で走り始めて60km地点が山の頂上で、60km下ったら、120km走って、また40km上って、下ってって…。
渋谷:
アップダウンがあるんですね。1チーム9人で走りますけど、その中で役割分担みたいなものってあるんですか?
新城:
もちろん。サッカーでも得点を決める人がいるじゃないですか。自転車もエースが決まっているんですよね。そのエースのために残りの8人が働くんですよ。自転車って風の抵抗が一番の敵だって言われてるんですけども、そのエースの前に立って風よけになってあげるとか、水とか食べものとか補給を持ってきてあげたり、そういう役割があって。
渋谷:
へぇー。
新城:
サッカーでゴール決めたらみんなで喜ぶじゃないですか。ロードレースも一緒で1人が勝てばチームが優勝なんですよね。もちろん賞金も全員均等割りなんで、そういう意味でもみんな惜しみなくエースに力を与えることができるんですね、はい。
渋谷:
今、自転車がブームになっていますよね。新城さんにとって自転車の楽しみ、魅力って?
新城:
やっぱり自転車で風を切る感覚ですかね。気持ちいいですよね。歩きとも違うし、車とも違うし。どこでも行けますもんね。僕は好きですね、風を切る感じが。
渋谷:
これからの目標は?
新城:
そうですね、日本で言うなら、僕、日本でレースをしたいですね。
渋谷:
日本でレース?
新城:
はい、今、日本でレースが少ないんですよね。自転車乗られてるんですけど、なかなかレースって無いんですよ。
渋谷:
プロフェッショナルなレースってまだ少ないんですね。
新城:
だから、そういうレースが開かれるように2年、3年掛けて、僕もヨーロッパで活躍して、日本でももっと取り上げられるようになりたいと思ってます!