いつもふたりで
Together with A Guest

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料理家 枝元なほみさん
横浜生まれ。「転形劇場」の劇団員だったころ、無国籍料理店の厨房をまかされ、料理の道へ。作りやすいレシピと穏やかな人柄で人気を集め、テレビや雑誌など幅広く活躍中。現在は、農業を応援する活動にも取り組む。近著に、旅先で出会った味と人々の記憶を綴った紀行エッセイ『かくし味は旅を少々』など。
『自分で料理作ったらすごいほめる!“自分えらい!”みたいな(笑)』

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渋谷:
枝元さんは、料理家になる前、舞台の役者さんだったんですよね?

枝元:
はい。「転形劇場」という劇団にいました。アルバイトをしながらお金を稼いで、昼間は稽古をして夜はバイトしてっていう暮らしを長くやってました。

渋谷:
その中で “食” につながるものがあったんですか?

枝元:
まずお金が無かったから、自分で作らなくちゃいけなかったということと、それから、劇団の飯炊きもやってました。“めし炊き主任”とか思って(笑)。

渋谷:
あはは。ちゃんと肩書きがあったんですね(笑)。そこで今の土台ができたんですか?

枝元:
例えば、違う国(海外)に公演に行った時、いろんな文化のところでいろいろ食べさせてもらったのが、すごく広がったのが多分芝居からの影響なんだろうなと思ってます。

渋谷:
食べるのって毎日のことなんですよね。1日3回作らなきゃって考えると負担になるじゃないですか。


枝元:
そう! 食べるって言うこととか、料理をすることって、生きて行くためなんだってすごく思うんですよ。できればオーガニックなものを食べたいとか、自然に、丁寧に作られたものを食べたいとかすごく思うんですけど、でも時々は「うーん!ジャンクなものも食べたい!」って思ったりするんですよね(笑)。

渋谷:
そうですよね(笑)。

枝元:
だから「これを食べたらダメなんだ」って否定するんじゃなくて、生きて行くってことを肯定するために食べていけること。料理を作ることも、「作らないからいけないのかしら」って思わずに、もし自分で料理作ったらすごいほめる。「自分えらい!」みたいな(笑)。美味しかったら「私、天才!」とか肯定する形で、食とか、生きるってことに関わっていけたらいいなって。それは多分、芝居やってたこととかにも繋がっているんだろうなっていう気はする…。

『旅のエッセイと、旅先でインスパイアされた料理のレシピ本「かくし味は旅を少々」』

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渋谷:
枝元さんは先日『かくし味は旅を少々』というエッセイ集を出版されました!

枝元:
タイトル通り、いろんなところに旅をして、どんな風に感じたかとか、直接そこの土地の料理という訳じゃなくて、旅先で感じたり、考えたりしたようなことは、ちょっとずつ料理に入っていってるって思うので、そんなことを書きました。旅のエッセイと、そこでインスパイアされたり、考えたりした料理のレシピが一緒になっています。

渋谷:
各地の調味料とかスパイスとかを紹介すると言うよりも、その時の枝元さんの感性ですよね。

枝元:
そう(笑)。日本でもそれぞれの家ごとにお家の味ってありますよね。だから旅先で「これがベスト!」 というお料理というよりは、何気なく食べたもので自分の中に印象に残ったものや、思い出したりするものが、普段のお料理の中にもちょっとだけ隠し味で入ってくるような感じがするんです。だからそんな感じの料理が載ってます。

渋谷:
旅先で受けたインスピレーションを、どんな風に普段の料理に生かしているんですか?

枝元:
例えば、温かいところに行ったら、果物が美味しかったとか、秋に日本のどこかで食べたおむすびが美味しかったと思ったり、屋台で食べた怪しげなものが美味しかったとか…(笑)。そういう記憶って、ちょっと幸せになったり、自分でご飯を作っている時にふっと旅の香りを感じるところがあると思うんですけど、そんな風に料理も考えられるといいなと思っています。

渋谷:
そして枝元さんは「oriori(おりおり)」というオリジナルのキッチン道具のブランドも立ち上げられたんですよね?

枝元:
今まで無かった自分が欲しかったものを作っていきたいなって始めたんです。例えばティーポットも、ティーパックを入れて直火にかけて煮出して、そのまま飲めるようなティーポットとか…。それをそのまま入れて持って行けるような小さい水筒とか…。ちょっとした使い勝手のいいモノを作りたいなって思って。

渋谷:
多機能で便利! すごい欲しいです!(笑)。それから枝元さんが今、一番注目しているのが “むかご”。今日スタジオに持ってきてくださったんですが、これは小さなジャガイモ?

枝元:
長芋とか、自然薯とか、やまと芋を総称して “山芋”って言うんですけど、地面の下にできて上の方に葉っぱがあって、その葉っぱの付け根に、この小さい直径が1.5cmくらいのコロコロができるんですね。すごく美味しいんですけど、今は収穫するのがすごく面倒だったりで捨てられちゃうんです。それを流通に乗せて農業を応援したいと思って紹介しているんです。

渋谷:
「チームむかご」という、むかごのプロモーション活動をされるチームも作っているんですよね(笑)。私も微力ながら応援させてください!

枝元:
はい! ぜひよろしくお願いします!


information
◆ブログ「枝元なほみとむかごの気持ち」>>http://mukago.jp/edamoto/
◆キッチン道具ブランド「oriori」>>http://www.oriori-shop.jp/top.php
◆チームむかご >>http://mukago.jp/
◆紀行エッセイ『かくし味は旅を少々』(スイッチ・パブリッシング刊)


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